ジュリアン・バトラーの真実の生涯 川本直／著 日本文学書籍その他

華麗でエキサイティングでスキャンダラスで挑発的なジュリアン・バトラーの虜になった。2021年発売当初から話題騒然の本作。自分の敬愛する作家や書評家がこぞって賞賛していたこともあり、読む前から文芸時評にレビュー、著者インタビュー、対談イベントなどで様々に本作に触れていたので、どんな作品なのかは分かっていた。 川本直さん(本書の著者)が訳した、ある覆面作家の衝撃的な回想録に、川元さんがあとがきの形で書いた「ジュリアン・バトラーを求めて」を収録したという体裁を取る本書の正体は、ノンフィクションにしか思えない壮大なフィクション。けれど、事前知識なしで読んだら間違いなく完全にノンフィクションだと信じただろう。 巻末の参考文献がまた凝っている。創作と分かりながらも、つい記載されている出典や人物をググってしまった。それぐらいリアリティがあり、それに騙されるのもまた心地良かった。 加えて、虚実入り混じりながらも20世紀アメリカ文学史の内側を垣間見る愉しみも堪能できるし、本作に登場する実在作家/作品を後追いで辿っていくのも面白いと思う。 単著のノンフィクション『「男の娘」たち』もぜひ読んでみたい。

何処までが真実で何処がフィクションなのか解らなくなる作品でした。内容も同性愛を扱う作品で最後まで読みきれるのかと思いましたがジュリアンがとても魅力的で楽しめました。

速やかに、そして丁寧に送っていただけて たいへん満足しております。 どうもありがとうございました。 また機会があればよろしくおねがいします。