少年が来る （新しい韓国の文学　１５） ハンガン／著　井手俊作／訳 アジア文学（海外）

著者の作品は初めて。女性ということも読後に知った。名前もペンネームなのだろうか。独特の透徹した描写と生々しい表現。それでいて幻想的な感覚にも包まれていく。非常に高いレベルの作家であることは読みながら常に感じた。そして取り上げているテーマは「光州事件」。近年、映画でも取り上げられてやっと日本でも知る人が増えているようだが、まだ真相は闇と言ってもいいだろう。Wikipediaでの死者数は百人台。しかしそんな数字で収まるはずはないだろう。いつか韓国を訪れたら必ず光州に行くべきだと思った。

人がモノのように撃たれ、殴られ、刺される、そんな虐殺がたった一人の指示でおこなわれてしまう。しかも拷問などにより苦痛は持続させられる。殺された人々の魂にどんな救いがあるのだろうか？被害者としての連帯は成立するのか？思いを巡らせずにはいられない。静かな筆致で大きな恐怖を描き、読む人の感情を揺さぶる傑作です。

内容がとてもリアルで時代背景が見えるようで衝撃でした。時の独裁者、権力者のしたことは歴史の事実として絶対に繰り返しではならない事ですが、今の韓国の状況からまた凄惨な惨事がくり返されるのではないかと心配でなりません。暴力の歴史は絶対繰り返しではいけません。

光州事件について興味がありもっと知りたく、本を探していたところ、こちらを知りました。 日本人でも誰でももっと知るべき隣国の歴史です。

そこまで期待していたわけではないのですが、とても面白かったです。他の人にもおすすめしたいなぁと思いました。

韓国文学を探していたところ、こちらで購入させていただきました。綺麗な状態で満足です。