満洲暴走隠された構造　大豆・満鉄・総力戦 （角川新書　Ｋ－３０） 安冨歩／〔著〕 教養新書の本その他

平和な緑に恵まれた動植物のユートピアだった場所が、瞬く間に一面の大豆畑に塗り替えられ、「満洲」が成立していく要因と過程、経済・政治・文化が相互に影響し合って変化する姿、満洲国の建国以降、急激に暴走していく過程を分かりやすく説明されています。 そしてその暴走の過程が、現在の日本社会にもそのまま当てはまる点を指摘し、我々に対する大きな警鐘と変化への切っ掛けを問いかける形で締めくくられています。 何故か研究成果のあまりに少ない分野で、この書の持つ意味はとても大きいと思います。 参考文献等も非常に良い本が多く、より理解を広げ深める上で大変参考になるものばかりです。 日本の近現代史の理解を深める上で外すことのできない本だと思います。 最後に内容と関係のない些末な話で恐縮ですが、最近刷られた本の帯に、著者近影や「東大教授の~」みたいな安っぽい宣伝文句がありますが、全く必要ないと思います。 　隠された暴走　 -大豆・満鉄・総力戦- このシンプルな単語だけで、問題意識を持たれる方の想像力を大きく刺激すると思います。 ぐちゃぐちゃ余分な情報を入れ込むのは著者の本意ではないと思います。

満州帝国を経済の側面から解説されている本で、非常に勉強になりました。満州帝国といえば、日本の傀儡政権、満州事変なんかを思い浮かべる方が多いと思いますが、この本では満州の経済がどのように回っていたか、他の中国の地域との差異、特徴が書かれていて非常に面白かった。