粋な色野暮な色 （文春文庫　さ５９－５　江戸彩り見立て帖） 坂井希久子／著 文春文庫の本

塚田屋の主・刈安の指示に従い新色「深川鼠」を考案した彩は、この色を広めようと、深川の辰巳芸者・蔦吉の力を借りようとするが、その蔦吉から深川の三竹屋に行くように勧められた。右近とともに三竹屋に赴くと「深川鼠」を宣伝する幟が立っていた。三竹屋が「深川鼠」として販売していたのは錆浅葱だった。右近はその反物を購入し、読売を使って三竹屋の謀を粉砕する。近所の油店・香乃屋の娘・お伊勢の二人の婿候補を巡る事件は右近の機転と暗躍であっけなくけりがつく。日本語の色を表す言葉は１６進数で現される色相よりも趣深く感じる。

シリーズ第三弾をサクッと読み終えた。 江戸のカラーコーディネーターお彩が、仕事先の呉服屋や、日陰町の町人の中で、悩みながら成長していく。 今回の色は深川鼠、浅葱色 こうやって色の名前を覚えていくのが楽しい。 色見立てに役立つとして、色彩豊かな『絵入源氏物語』60冊の話が出てくる。これが今後どのように関わっていくかも楽しみ。