ロシア敗れたり 鈴木荘一／著 戦争史の本

本書の「はじめに」に「司馬遼太郎が国民作家であり(略)痛快な小説を書き残した功績については、私は否定しない。だが、この『坂の上の雲』には、史実を大きくねじ曲げてしまう手法が大胆に取り入れられ、許容限度を超えたウソが数多く埋め込まれている。それがあたかも日本の正史であるかのように定着してしまえばどういうことになるか。(略)黙って見逃すことはできない。」とありますが、確かに昨今は司馬史観が正史のように定着してきていると思います。特に昔の人の話を聞くにつけ『坂の上の雲』以前と以後では乃木希典の評価は大きく変わったと感じています。一方で、以前より研究者によっては『坂の上の雲』における乃木の戦術に対する批判が的外れだとする指摘がありますが、本書は特に乃木希典や伊地知幸介の名誉回復を熱弁しており、この本のタイトルでカバーがなぜ乃木希典なのかという疑問が解決します。また、司馬が同作で礼賛するメッケル軍学の陥穽を述べ、秋山真之の失策を指摘するなど、あと出しじゃんけんの要素もあり、多くの司馬信者には面白くない本だと思いますが、歴史には色々な観点や解釈があって良いと構えれば、面白く読める本だと思います。

司馬遼太郎の竜馬がゆくが大好きで、坂の上の雲も読みましたが、読んでも中々膨らまず、何故か前に進まない本でしたが、この本を読んで何かスッキリしました。無能な乃木大将では無く、明治の近代化で出てきた軍人による史実の食い違いによる、事実か小説か？色々と考えさせられました。

どういう経緯で日露戦争に至ったか、そして有名な旅順攻略戦を如何にして戦ったかということを「史実」を丹念に拾って組み上げられている。特に終章は、読んでいくうちに落涙を禁じ得なかった。

文字の大きさが大きめで、ちょうど良い。 歴史の視点は、多方向から見るべきと考えさせてくれた。 即ち、著者の意見もいくつかある視点からのものである、と認識しながら読むと大変興味深い。

私は司馬遼太郎の大フアンだったのだが、この本を読んで「全幅の信頼のおける作家」というイメージが変わってしまった。俗に「歴史は小説でつくられる」といわれるが、怖い話だ。

父から頼まれて購入しました。到着までに少し時間がかかりましたが、送料無料なのでヨシとします。

父（96歳）が希望し注文しました 以前雑誌に連載とかでまた読み返せてとても満足していました

面白かった。いろんな人に読んでもらいたい。