家康の誤算　「神君の仕組み」の創造と崩壊 （ＰＨＰ新書　１３７２） 磯田道史／著 PHP新書の本

徳川家康が築き上げた徳川幕府も、200年以上も続けば、 あちこちから、制度疲労が起こって、幕府の権力基盤が揺らぐのも無理はないでしょう。 まあ、徳川将軍家が日本最大最強の大大名だから、諸大名の盟主として、全国統治を押し進めて来れましたが、 徳川幕府の権勢が下降線を辿って行く一方で、西国の有力大名が、力を付けて行くと、必然的に、幕府を軽く見始めて、 変革を求めて、様々な工作を施して、幕府に揺さぶりを掛けて、幕府をより弱体化を謀るでしょう。

大河ドラマ後に読んでしまったが一つの流行だったのだろう。徳川家康の奥の深さを実感できる。 磯田先生の本は気に入って読むのだが、全体的に大雑把な話だったので、詳細を端折られている感じがした。いつもは深く考察されている印象があるので、急いで出版された？と感じてしまった。

265年の間つづいた徳川幕府が、家康が作った江戸時代がなぜ崩壊したのか。 分かりやすく書いてあります。 また、彼がこの国に与えた影響が納得できます。 たとえば、コンプライアンス。財布を落としたら、帰ってくる国だったりします。

とても面白かったです。どんなに考え込まれてち密に構築されたシステムであっても、時の流れとともに環境に適応できなくなり、少しずつ変更を加えられることによって全く機能しなくなるのだなあと思いました。

なんとなく知ってることも多くて、目新しいことばかりとはいきませんでした。戦いのない社会が長く続いた江戸時代。どこかに学ぶべきものがあるんだろうと思います。

磯田さんの書いた本は大好きで毎回買ってしまう。歴史の史実だけではなく、過去、現在に繋がっている視点がとても面白いです。