漫画で伝える原爆の記憶 電車車掌の少女と、軍医の戦い / さすらいのカナブン 〔本〕 ノンフィクション書籍その他

内容は非常に重い、だが画からはその重さが充分には伝わってこない。コミックだからとは言わないが、文章を読んで、想像力で補うしかない。 コミックの前半は少女の、後半は軍医の体験談であるが、二人に繋がりはない。 ８月６日、病気やら遅刻やらで、両者とも偶然に爆心地から離れた地点に居合わせたのであった。 私には後者の話が重く感じられた。 「戦争は人間が始めるもの」 「ある日突然始まるように見えて、実は何十年と前から準備されている」 全く、その通りであろう。 民主主義国家であろうとも、リーダーの暴走を抑えられなければ、戦争の引き金は引かれてしまう。 専制主義国家ともなれば、引き金はいつ引かれてもおかしくはない。 私は、日本が（大統領制ではなく）議員内閣制を採用したのは、「リーダーが暴走しにくいようにした為である」と思っています。 「戦争は絶対にいけません」と少女は最後になって言います。 日本から戦争を仕掛ける事は「ない」或いは「確率的にはかなり低い」と思われますが、仕掛けられたり、巻き込まれたりする事は「ない」とは全く言い切れません。 ともあれ、核兵器の廃絶に向けて、日本はアメリカに気を遣っている場合ではないでしょう。

はだしのゲンを読んでいた世代です。 はだしのゲンは内容的に学校図書には置かれなくなったと聞いた事があります。でもこちらの作品なら戦争を知らない子供達にも原爆や戦争の悲劇を知ってもらえると思います。漫画ですが、読書感想文にも良いのではないかと思います。

証言できる人がどんどん少なくなっている今の世の中で、当事者からの証言を元に描かれているのは大切にしなければいけないものだと思います。 あくまでマンガですが、視覚的にもわかりやすくて良いと思います。