夫がわたしを忘れる日まで 電子書籍版 / 著者:吉田いらこ 教養新書の本その他

ネットや雑誌等で断片的に読んでいて興味があったので単行本で購入しました。若年認知症になった夫と妻の話を妻を主人公に描いています。夫が「不安があるから仕事辞めたい」と言った際に妻がまず考えたのは子供も抱えての生活のことで、結果的にそれが夫を追い詰めることになり、夫が若年認知症と診断された後も、義両親に相談しない、お互いの会社に相談しないなど、妻が夫に依存する部分が多かったことが悪い方向に向かいかける…少し妻が自己中心的に見える方もあるとおもいますが、しかしこれは実際の生活においてはかなりリアルな描写で、現実的にはこうなるだろうなと想像できる展開です。そして子供の受験のために夫を義実家に預かってもらいますが、最後には、夫が近くにいることがどれだけ大切な時間であったか、穏やかな普通の生活をおくることが如何に幸せであったか、本当に大事なことは何だったか、そして何より夫本人が一番苦しんでいることを理解し、主人公が自分が変わらなければいけないことに気づきます。妻の「自分だけが辛い」という視点でリアルな展開がゆっくり流れるコミックエッセイで、勉強になりました。