聖職の碑　新装版 （講談社文庫　に４－１３） 新田次郎／〔著〕 講談社文庫の本

ウン十年も前に映画を少しだけ見ました。その時は辛くて全部見られなかったです。何十年もたった今、本で少しずつ読んでみようと思い購入。わたくし活字が苦手で本をあまり読みませんが、文字サイズと話の読みやすさで2日で読み終える事ができました！！ 良いはなしです。

いろんな悲劇がありますが、こんな悲しい話はなかなかないと思います。読み進めていくのがつらくなる恐ろしいまでの自然の脅威、生を求め懸命に戦う教職者と生徒たち、その後の展開も含め、読了後も悲しみが消えない作品です。

木曽駒ヶ岳付近でこんな事故があったのは知りませんでした。天気予報の精度が今ほどではなかった時代に起きた悲しい事故です。内容も衝撃でしたが、やはり新田次郎の天気の描写が素晴らしい。臨場感があります。

教育熱心な長野県の校長の登山前後の考え方がよく書かれたいました。そして遭難という困難な状況に周りの人々もどんな状況だったらのか、石碑への気持ちがよくわかりました。

この小説をよめば山の恐ろしさを実感できます。山に登る際、主人公は野良着を着た老人に、山は危険だと予言される場面、科学では解明できないこともあると実感します。

事実に基づいた作品です。近年、山での遭難事故が増えていますが、学校などで登山を計画している方々には是非、読んで参考にしてほしいと思う作品でした。

◎