ファルセット(裏声)を多用する特異なヴォーカリストとして知られる、メタル界きっての暗黒魔導師キング・ダイアモンドが率いるKING DIAMONDの1989年発表4thアルバム。この当時は完全にMERCYFUL FATEの活動を停止して持てる力を全て注いでいたため、楽曲はもちろん、彼のVoも高音に低音と全てが素晴らしく・・・裏声が受け付けなくて距離を置いている人は本当に勿体無いなと思ってしまうくらい、メタル好きの人には是非聴いてもらいたい作品に仕上がっています。音楽自体はこれぞ正にヨーロピアン・メタルという感じですし、アンディ・ラ・ロックとピート・ブラックのソロは劇的かつ流麗で・・・あとはやはりキング伯爵のVoさえクリアできればという感じですね(^^；KING DIAMONDはホラーストーリーに基づいて楽曲が作られていまして、彼はその中で役を演じ様々な声を使い分けていますので、歌詞を読みその物語に身を任せれば・・・今まで敬遠してきた人も、その暗黒世界に酔い痴れることができるのではないでしょうか？

2005年に惜しまれつつも解散したSENTENCEDの1993年発表2ndアルバム。発表当時は他の北欧出身バンドと一緒にメロディック・デスメタルとして紹介されていましたが、このバンドの場合、例えばIN FLAMESのような解り易いメロディを配している訳ではなく、彼らの出身国フィンランドの極寒を想像させるような恐ろしくも美しい、そんなメロディが乱舞するスタイルでした。攻撃性の方も、正にフィンランドの冷たく体を切り刻むような風の如く鋭く、デスメタルとしても納得できる作品に仕上がっています。Voのタネリ・ヤルヴァのトム・G・ウォリアー(CELTIC FROST)風の唸り声も最高ですし、甘いメロディのデスメタルにはうんざりという方には是非聴いて頂きたい傑作です！なお、今年の2月にリード・ギタリストであり、多くの名曲を生み出したミーカ・テンクラが34歳という若さで亡くなりました。音楽を心の底から愛した彼は、極北の夜空に輝いていることでしょう。R.I.P.

まだマイナーなジャンルだったゴシックメタルを、現在の地位まで引き上げたバンドの1つであるオランダのTHE GATHERING。このバンドに約13年間在籍し、2007年6月に脱退した際は大勢のファンを落胆させたのが、現在はAGUA DE ANNIQUEを率いているカリスマVoのアネク・ヴァン・ガースバーゲンです。そんな彼女の初めてのソロ作は、今まで通りの可憐で美しい、そして芯の強い歌声を聴くことができます。音楽性の方はAGUA DE ANNIQUEとは違い、全篇アコースティック・ギターやピアノをバックにして歌うという感じで、ジョン・ウェットンやアルイエン・ルカッセンにシャロン・デン・アデルなど、その筋では豪華と言えるゲストが参加していますが、とても落ち着いた起伏の少ない音楽を披露しています。ということで楽曲的な魅力は薄いですが、彼女の透き通った声に癒されたいという人は、是非このソロ作もチェックしてみて下さい(^^)

今やフィンランドを代表する人気バンドであるENTWINEの2009年発表6thアルバム。この作品の発表前にデビュー時からのメンバーで、見た目においても華となっていたkeyのリータ・ヘイコッネンが脱退してしまい、5人編成での新たな出発という作品になりましたが、音楽性の方もメランコリックなメタルからロックへとシフトしてきているのが強く感じられます。もちろん彼らの本質である儚くも切ないメロディは健在ですので、大きな変化という訳ではありませんが、今まで以上に空間のある楽曲と前ノリのリズム。大衆によりアピールする音楽性になってきた感じがします。と言っても、彼らは母国チャートでは初登場1位が定位置になりつつありますので、他の類似バンドとの差別化も意識しているのかも知れませんね。とにかく、彼らのようにコンパクトかつインプレッシヴな楽曲を作れるバンドはそういないですから、このまま精進していって欲しいですね(^^)

ノルウェーが誇るゴシックメタル・バンドの代表格である、THEATRE OF TRAGEDYが1996年に発表した2ndアルバム。ゴシックメタルと一口に言っても、トラッドやインダストリアルの要素があったりとそのスタイルはバンドによって様々ですが、彼らの場合はゴシックというジャンル名の由来でもあるゴシック建築を思わせるような荘厳で重厚な音楽性をしていて、これぞ正にゴシックメタルという正統派のバンドでした。一般的なイメージと相違ありませんが、暗く沈み込んでしまう音楽と敬遠するには勿体ないほどリヴ・クリスティンのVoは可憐で美しいですし、楽曲も神秘的で所々にSEを挿入したりと練られていますので、意外と聴きどころを多く感じると思います。現在はリヴ・クリスティンも脱退し、その音楽性も大衆性が増していますが、ゴシックメタルのジャンル形成の手本となった初期の名作をお時間あればチェックしてみて下さい(^^)

昔からのファンで今更このミニ・アルバムを購入しようという方はいらっしゃらないと思いますが、現Voのエドゥ・ファラスキではなく、元VIPERのVoとしてデビュー前から知名度のあったアンドレ・マトス時代を聴いてみたいなという新しいファンの方にはお勧めの商品かも知れません。何故ならば、1stアルバムの、いや彼らの全作品の中でも名曲と言われる3曲(収録は4曲)をズラリと揃えた形になっていますので、これを気に入れば初期の作品も楽しめるというバロメーターになると思うからです。ちなみに、この3曲はシンフォニック・ヴァージョンと杭打ってリミックスされていますが、確かに1stアルバム収録のものより劇的なアレンジになっていますし、アンドレ・マトスが気になっていたというVoに関しても一部手直しがされておりますので、新たなファンでなくても実はチェックする価値のある作品だと思います。

ロバート・スミス率いるイギリス出身のTHE CURE。ジャンルとしてはゴシックやオルタナティブの要素があるハードロックということになるでしょうが、そんなジャンルを超えた素晴らしき楽曲がこのDVDには収録されています。と言いますのも、今となっては彼らの音楽的変革となった代表作である3枚のアルバム、1982年発表「PORNOGRAPHY」と1989年発表「DISINTEGRATION」と2000年発表「BLOODFLOWERS」を丸ごと収録していまして、これを更にライヴで熱演している訳ですから悪い内容になるはずがありません(^^)この安価な輸入盤も国内の機器で再生可能ですので、彼らの音楽を聴いたことがない方にはベスト盤的な感じで3つの時代を楽しむことが出来ると思いますし、是非ロバート・スミスの苦悩と葛藤から生まれた激情の音楽に1度触れてみて下さい。

OPETHが日本でもやっと人気が出てきて、彼らが尊敬し、アルバムのプロデュースも行ったことのあるPORCUPINE TREEが我々の知るところになってきました。前置きが長くなりましたが、そんなPORCUPINE TREEを気に入った人なら、このポーランド出身のRIVERSIDEは是非お薦めしたいです!少し退廃的と申しますか、鬱な感じも漂わせる音楽性に、PORCUPINE TREEのスティーヴン・ウィルソンに似た明朗かつメランコリックな歌唱を聴かせ、プログレッシヴな展開と共に我々を不思議な世界に誘ってくれます。現在は3rdまで発表していて、今作は2ndに当たりますが、どのアルバムも同様の世界観が築かれていますので、何かインテリジェントかつアダルティなプログレッシヴメタルをお探しの人は一度聴いてみて下さい♪

かねてから輸入盤市場を賑わせていたポーランド出身のRIVERSIDEが、2009年発表の4thアルバムで、ついに日本デビューを果たしました！音楽性の方は1stから一貫されてダークでプログレッシヴなヘヴィメタルですが、他のバンドとは一味違う独特な曲調に、なんとも言えない陰鬱な雰囲気・・・最高です♪以前はOPETH等を比較の対象として紹介されることが多かったですが、今作の出来を見る限り、今後はプログメタルの代名詞として扱われる感じがします（＾＾）少々お値段の方は高いですが、2008年に行ったアムステルダム公演のライヴDVD（輸入盤付属のDVDは国内機器で再生不可）が付属していますので、是非そちらの方も楽しんでもらいたいです。

シンフォニックメタルというか、ヘヴィメタルの新たな可能性を示したと言えるスウェーデンの鬼才クリストフェル・ヨンソン率いるTHRION。彼らは最近、残念ながら長年連れ添った楽器隊を解体し再始動するという道を選択しましたが、今のところベストと言える前メンバーでのライヴが、このDVDでは観ることが出来ます。アルバムで魅せていた多彩なヴォーカル・パフォーマンスも、このライヴでは4人が入れ替わり立ち替わりその役目をこなしており…スノーウィー・ショウが歌っているのを観るのは少し慣れませんが（^^；ゴシカルな雰囲気に、メタルのライヴとしての迫力もあり、起伏に富んだ素晴らしいステージングに目を奪われることでしょう。