天体観測における双眼鏡の役割には、想像以上のものがあります。本書は、その簡潔にして重要な要点の解説本です。表紙の星雲・星団・銀河早見、ページをめくると双眼鏡の使用法から始まり、見開き構成の12カ月別観測ポイントと続き、良心的な構成となっています。ただ、「ポケット」とうたわれているほど本書は小さくはなく(笑)、まあ、カバンに簡単にしのばせられる程度でしょうか。私は、旅行に双眼鏡を携帯するタイプの人間ですが、本書のようにかさばらない小型図鑑はありがたいものです。星空のきれいな田舎に旅行する時には、ぜひ携帯していこうと思っています。

同じ星の手帖社から販売されている組立天体望遠鏡を購入して、まず最初に見てみたいのが月。それを予想してか、組立天体望遠鏡と連動した企画本であるようです。藤井旭氏の執筆に無駄はなく、さすがです。組立天体望遠鏡にも簡単なガイドブックが付属していますが、月齢別の地形解説以外にも、月と人間生活・神話、月の運動、日食・月食・星食、撮影、月探査、太陽系の衛星の科学と内容も盛りだくさんです。組立天体望遠鏡で月に関心を持つことからスタートし、本書のような良書の手引きで未来の天文学者が育ったらいいですね。月齢早見盤も付属しています。

簡単に組み立てできるということからも、よろしかろう悪かろう精神で購入しましたが、想像以上の光学性能に驚きました。三脚に取り付けて星像をチェックしても、結構見事に点像を結んでいます。小さなお子さんの場合は、いったん組み立てると分解できないので、レンズ表面に指紋がつかないよう、親御さんは気をつけてあげてください。

天体観測の大家・藤井旭氏の執筆だけあって心得たもの。最低これだけはという内容に特化されています。同じ星の手帖社の組立天体望遠鏡と連動していると思われる企画品です。望遠鏡にも簡単なガイドブックが付属していますが、それをさらに広く深く探求した好内容となっています。携帯に便利な星座早見盤も付属しています。

風向計は、たいへんスムーズに作動します。組み立て説明書も丁寧で、気象観測の簡単な概要も理解できます。風速計も凝ったつくりですが、微風ではなかなか回転しづらいとこがあります。しかし、全体としてはしっかりとした教材といえるでしょう。

デザイン・機能ともに申し分ありません。