小津安二郎監督のいわゆる「紀子3部作」の2作目にあたる。正直、『東京物語』ほどの傑作ではないが、小津監督が『晩春』、本作『麥秋』と試行錯誤しながら、『東京物語』を生み出していった過程を見るのは面白い。出演者も『晩春』『東京物語』と共通し、原節子と笠智衆以外にも三宅邦子、東山千栄子、杉村春子などが出ている。役名や職業も部分的に共通する設定が見られる。 なお、残念ながら初回生産限定のアウターケースとシナリオ写真集付きのものはもうなくなってしまったようだ。

福島県会津磐梯山麓の小さな田舎町。そこにある警察署が舞台。同じ1950年代でも、東京に暮らし比較的裕福な家庭が舞台となることの多い小津安二郎の作品とは、描かれる情景が全く異なる。 田舎の警察と町の人々を描いているが、万引きや置き引き、無銭飲食といった軽犯罪は無罪放免。世話焼きで温かい彼らは、身の上話を聞き、人生をやり直す彼らに餞別まで渡す。そんな人情が見ていて心地いい。 配信で見て非常に良かったので、DVDを欲しくなり今回買った。

妻に先立たれた父と、年頃の娘の二人暮らし。娘は体の悪い父を心配し、結婚をしようとしない。そんな娘に気を揉む父。小津作品らしい素晴らしい1作。 本作では原節子が紀子という役を演じており、その後、『麥秋』『東京物語』でも（設定は異なるが）紀子という名の役を演じており、「紀子三部作」と呼ばれている。そんな記念すべき1作目でもある。 初回特典の分厚いシナリオ写真集も素晴らしい。

今では『スパイダーマン』3部作や『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』といった一般ウケする超大作の監督として有名なサム・ライミがキャリア初期に撮った『死霊のはらわた』シリーズの3作目。前2作が本格ホラー作品だったのに、本作は設定を活かしたアクションコメディになっていて驚く部分はあるが、とても面白かった。

山田洋次監督によるいわゆる民子三部作で、『家族』『故郷』に続く三作目。 北海道東部の開拓の町で夫を亡くし、息子と二人で暮らす女性。ある日謎の男が訪ねてきて牛飼いの手伝いをすることに。男は罪を犯して逃亡中の身だと分かる演出のためイマイチ感情移入できなかったが、そんなことどうでもよくなるほど感動的なラストが待っていた。

医療中の梅毒感染によって、自ら婚約者との結婚を破棄することになる医師の物語。 主役である三船敏郎の魅力は言うまでもない。しかし、三船演じる医師の婚約者役・三條美紀以上に、看護師を目指す千石規子が非常に素晴らしい演技をみせている。 黒澤明監督の初期の作品だが、とても面白かった。

栗島すみ子、飯田蝶子、吉川満子の3人でに会話が漫才のようでとても面白かった。この素晴らしい3人の女優を見るためだけでもこの映画を観る価値があります。