介護や高齢者「問題」の専門家には、抜け落ちていた「「老い」に対する視点が明確に示されて、刺激的でした。 まず少子高齢者に伴う社会変化に対しては今後、日本が取り組むべき「課題」ではあっても、「問題」ではない。 長寿・高齢化は世界に類を見ない速さで進んできた日本は、世界のどこも今まで経験したことがない「課題」に取り組む必要があること。老いに伴って誰もが経験する認知機能の低下。今まで生きてきた場所で「いるだけでいい」と、ここで「いつ死んでもいい」という新たな関係の中で、それぞれの人生の最期が迎えられたらいいなぁと思う。刺激的でした。

明治29年や昭和8年の東北太平洋岸襲った「三陸大津波」に触れながら書いている「津浪と人間」などは、2011年の「東日本大震災」の最大の教訓であり、防災への備えの重要さを述べていることに深く共感できる。「天災と国防」なども今の私たちに多くの示唆に富んだ言葉が伝わってくる。また「関東大震災」での、その場での「経験」をもとに綴られている「震災日記」記述は、その場の情景がリアルに見えてくる。観察力、把握の深さには感心した。おすすめの随筆集である。

アルバムには単に写真だけでなくて、日記帳やスケッチ、当時の新聞記事の切り抜きなども載せられていて、神谷美恵子を多角的にイメージできる点でよかった。また関わりのあった人たちの思い出エピソードも、いろんな面から神谷美恵子理解に役立った。随所に散りばめられている、彼女の詩がこの書物をより深いのあるものしているし、詩人としての彼女が伺えた。全体の構成がこの書物をよりいいものにしている。

ワクワクして待っていたので、届いてすぐ豆を挽いて飲みました。いつものコーヒーより味が柔らかくなるように思いました。毎日、使っているので、布がコーヒー色に染まってきましたが、それがなんとも言えない色合いで、楽しんでいます。毎日洗って、乾かせて、楽しんでいます。3枚セットとか一人用の大きさのがあるとうれしいです。

実に様々な老いの姿を知り、自分ごととして、考えることの多い本でした。森鴎外の長男として自らの老いを引き受けている森於菟氏の『耄碌寸前』には心動かされました。また高森和子氏の『幸せな男』からは、情景の描き方に感心して、『母の言い分』を読みたくなりました。鶴見俊輔氏の選択も素晴らしいと思います。

介護保険が最初に目指したものが一定程度、その目的は果たしたもの、安心して老後が迎えれるか不安ではあります。現場で活躍されているいろんな方の意見は貴重ですが、高齢者自身には把握できない点が多く、それぞれの地域での包括センターやケアマネさんにかかっているように思いました。

エミールと合わせて読んでいるので、内容やルソーの心の変化など、オーバーラップしてきますが、晩年のルソーが、どのように自分と向き合い、人や自然をどうのように見つめていたのか、よくわかります。ルソーはお気に入りの散歩道や寄り道できる場所があって幸せだなぁと思います。

神谷美恵子さん自身が、どういう書物で、彼女の、生き方を作り上げてきたのかがわかるいい本です。ミシェル・フーコやヴァージニア・ウルフとの出会いが大きかったのでしょう。いくつかのエッセイも興味深いものがあります。心に残る人や老人と、人生を生きる意味などがよかった。

いい書物です。貴重な歴史の一コマの記録ですし、普通は見逃してしまう視点での観察力、洞察力には感動しました。今の時代を、自分の経験したこと、見聞きし情景を描ける人はいないのではないかと思います。堀田善衛さんの他の本も読んでみたくなりました。

何度も繰り返し読める。詩なので、読む側のその時々の心を背景によめるので、同じその詩が違って見えてきます。より読み深められた、自分んものとして訳されている神谷さんの日本語にも魅せられます。宇宙の声を聴いておられる神谷さんが感じられます。