kon********さんの商品レビュー

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新・仮面の忍者赤影 (3) 電子書籍版 / 横山 光輝

新・仮面の忍者赤影 (3) 電子書籍版 / 横山 光輝

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TVアニメシリーズのコミカライズ

2021/2/14

『仮面の忍者赤影』1987年のTVアニメシリーズにタイアップしたコミカライズの最終巻。 前巻から引き続き、金目教一味との攻防戦が展開いたしますが、戦いの帰趨を決するのは唯一の巨大怪獣である大蛇。大蛇を味方につけた方が絶対的に有利なので、忍者同士の戦いも何だか大蛇頼み、大蛇を操ることができる笛の争奪戦といった様相を呈しております。それでいいのか……? 正直、善玉の赤影たちの活躍には面白みがないのですが、その代わりに本巻を盛り上げているのは悪玉のはずの金目教の忍者たち。横山光輝先生、描いているうちに敵の忍者に愛着が湧いてきたのか、悪人面の連中がどんどん人間臭くなっていくんだから、どちらが主役なのか分かんないことになっています。赤影たちは大蛇をあやつって、圧倒的な強さで蹂躙している格好ですからねえ……。 「金目教」をめぐる戦いはここでひと区切りついた形ですが、甲賀幻妖斎、かげろう霞丸、不死身の甚内、くノ一の山吹など、金目教一味の主要メンバーは生き残ったまま、決着はつかず。アニメの終了に合わせて打ち切り? ああ、金目像(ロボット)と大蛇の戦いが見たかったなあ……。

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    北条高時と金沢貞顕 やさしさがもたらした鎌倉幕府滅亡 永井晋/著

    北条高時と金沢貞顕 やさしさがもたらした鎌倉幕府滅亡 永井晋/著

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    北条高時の復権の一冊

    2021/1/25

    鎌倉幕府側の資料(『金沢文庫古文書』など)から読み解く、鎌倉末期幕政の考証本。名前ばかりは有名な「金沢文庫」の内容についても詳しく解説されております。 鎌倉幕府が滅亡したのは悪政のためではなく、冷害による御家人の困窮に元弘の乱による戦費調達が追い打ちをかけて、幕府が恨みを買ったため。「鎌倉幕府が分倍河原合戦の敗北まで事態を軽くみていたことは、鎌倉の街で仕事をする首脳部が御家人の疲弊を頭では理解していても、実感としてもっていなかったことの証といえる」とあるように平和ボケが幕府を滅ぼしたといえるでしょうか。最末期の鎌倉幕政が極力摩擦を回避することを優先する調整型の政治で、結果として後醍醐天皇を台頭させることになったという見方はまさに目からウロコ。 幕府の信頼を傾けるほど愛好したとされる田楽・闘犬についても考証されており、服忌令(触穢の禁忌)の厳しい鎌倉の中で闘犬を行うことはありえず、郊外の山内殿に引退してから好むようになったとの解釈は説得力充分。 暴君・暗君のイメージがいまも根強い、北条高時の復権の一冊であります。

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      新・仮面の忍者赤影 (2) 電子書籍版 / 横山 光輝

      新・仮面の忍者赤影 (2) 電子書籍版 / 横山 光輝

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      TVアニメシリーズのコミカライズ

      2021/2/14

      『仮面の忍者赤影』1987年のTVアニメシリーズにタイアップしたコミカライズの第二巻。 前巻から引き続き、影一族トリオ(赤影・青影・白影)と金目教一味の攻防戦。 赤影側はレギュラー三人だけなので戦死者が出ることなく、敵方の忍者を一人ずつ倒していくという展開。仲間の誰が死ぬかというスリルは欠くものの、青影・白影にもそれぞれ活躍の場が用意されているので、安心して読み進めることができるのであります。珍しく敵のくノ一が登場したと思ったら、アニメ版のキャラクターだったのですね。 そんな本巻でダントツの存在感を持つのが、大蛇。超人揃いの忍者たちと比較してもリアリティラインからの逸脱ぶりは際立っており、彼我のパワーバランスは大蛇の存在によって左右されているといっていいくらい。参考までに蛇にはまぶたがなくて、眠っている時でも目は開いたままのはずですが、この大蛇、しっかりまぶたを閉じて眠っています。もしかしてアシナシトカゲ? いろいろあって大蛇を手なづけることに成功して、赤影たちが金目教との決戦にいよいよ臨むところで次巻に続く。

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        足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー 秋山香乃/著 荒山徹/著 川越宗一/著 木下昌輝/著 鈴木英治/著 早見俊/著 谷津矢車/著

        足利の血脈 書き下ろし歴史アンソロジー 秋山香乃/著 荒山徹/著 川越宗一/著 木下昌輝/著 鈴木英治/著 早見俊/著 谷津矢車/著

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        歴史小説アンソロジー御当地タイアップ企画

        2021/2/12

        歴史小説アンソロジー御当地タイアップ企画? 『足利の血脈』なるストレートなタイトルですが、テーマとなるのは平安~鎌倉の下野源氏足利一族でもなく、室町幕府の足利将軍家でもなくて、江戸時代の喜連川藩へつながる関東公方(古河公方、堀越公方、小弓公方)の足利一族の歴史だというちょっと珍しい趣向の企画。どうもこの本、喜連川藩をルーツにする栃木県さくら市が立てた御当地企画のようなのですが、地元に足利家がやってくるのはやっと戦国末になってからなので「さくらの一族」なる喜連川の忍者集団が古河公方一族に仕えていたという強引な設定が素敵であります。巻末には足利氏系図や関連年表の掲載もあり、戦国モノではよく名前が出てくるのに実態がよく分からない関東公方の歴史について、入門編としてはまことにお手頃な一冊といえるでしょう。また史跡ガイドもあるのですが、足利氏関係の史跡は江戸時代に入ってからのもので、戦国時代以前からの史跡は足利氏とはどれも関係薄くて少々苦笑い。

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          戦争の日本中世史―「下剋上」は本当にあったのか―(新潮選書) 電子書籍版 / 呉座勇一

          戦争の日本中世史―「下剋上」は本当にあったのか―(新潮選書) 電子書籍版 / 呉座勇一

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          「そこにシビれる! あこがれるゥ!」

          2021/2/14

          後世の〇〇史観や創作物による思い込みから脱却して、事実(史料)に即して中世日本の実情を読み解こう!というスタンスの中世史研究本。 例えば鎌倉幕府が滅亡した原因についても、学術研究の成果は「分からない」という衝撃の結論。ああでもない、こうでもないと議論はあるものの、研究が進めば進むほどどれも歴史的事実に合致しないことが判明してしまうのだとか。 特にヤリダマに挙がっているのは進歩主義や階級闘争史観でして「政治体制への不満が社会全体に高まった(政治体制が社会を苦しめるものだった)から体制が崩壊した」式の単純な図式への批判は痛烈かつ痛快。 また、理解しやすいようにマンガやインターネット界隈で馴染みのコピーを連発することで、中世史に疎い読者にも配慮されているのであります。その点が「軽い」「不真面目」と感じる読者もいらっしゃるかもしれませんがね。 「そこにシビれる! あこがれるゥ!」

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            新説の日本史/河内春人/亀田俊和/矢部健太郎

            新説の日本史/河内春人/亀田俊和/矢部健太郎

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            日本史の最新研究のガイドブック

            2021/2/13

            日本史の最新研究のガイドブック? 「邪馬台国論争は畿内説の完全勝利」「今川義元は上洛を目指していなかった」「西郷隆盛は征韓論者ではなかった」……などと刊行の告知にあったので楽しみにしていたのですが、実際に読んでみると、どの話題も採り上げられていませんでした! テーマは編集者で選んだのでしょうか、それとも執筆者にお任せだったのでしょうか? うーん、「邪馬台国論争は畿内説の完全勝利」を読みたかったのであります……。 どのテーマの場合も史料に依拠した穏やかな解釈でして、学術研究はトンデモ歴史にあらず。 興味深く読めたのは「日米修好通商条約は不平等ではなかった!?」「日米開戦の原因は組織の論理と責任のたらい回しだった」の二編。また、憲法で規定はあるものの実体となるとよく分からない「象徴天皇」について、政治関与の有無を検証しているのが目からウロコで驚きました。

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              豊臣探偵奇譚/獅子宮敏彦

              豊臣探偵奇譚/獅子宮敏彦

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              ライトな伝奇時代小説

              2021/7/6

              豊臣秀吉の血縁者として生まれたばかりに年若くして(というか子供なのに)百万石の大名となってしまった中納言秀保は、あちらこちらへ出かけるたびに超常現象的な怪事件と散楽芸人のヒロインたちに遭遇することに。戦国末期を舞台にした本格系時代ミステリ小説なのかと思いきや、実際に本格ミステリっぽい謎解きはやっているものの物語の中ではほとんど添え物に近く、実態は少年大名秀保の生涯に散楽芸人のヒロインたちをからませたライトな伝奇時代小説だったのであります。第4話は歴史の敗者が身を隠すために集まってくる十津川を舞台にして、正史の上では死んだはずのあんな人やこんな人や、将来に有名になるはずのあんな人やこんな人が大集合という賑やかさが実に楽しく、どうせならこのエピソードで一冊書いてほしかったような。

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                寺社が語る秦氏の正体/関裕二

                寺社が語る秦氏の正体/関裕二

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                陰謀論と怨霊史観で読み解く古代史

                2020/12/28

                聖徳太子の側近とされる秦河勝が、大化の改新の後に播磨へ逃れて祟り神になったのは何故か? 古代の有力渡来氏族だった秦氏が、後世には賎民(芸能民)に零落したのは何故だったのか? 陰謀論と怨霊史観で読み解く古代史。もともと『伏見稲荷の暗号 秦氏の謎』というタイトルで刊行された単行本を、新書で再刊するに当たって改題したもの。秦氏と関わりが深い稲荷信仰と八幡信仰が日本中に広まっているのは何故か、というのが本書の導入部なのだが、本当に導入部でいわくありげに採り上げられている程度なので、ちょっとタイトルに偽りあり。稲荷信仰や八幡信仰の謎解きを期待すると当てが外れて拍子抜けということに。

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                  龍神沼 【石ノ森章太郎デジタル大全】 電子書籍版 / 石ノ森章太郎

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                  少女漫画くくりの短編集

                  2021/2/12

                  石ノ森章太郎先生作、少女漫画くくりの短編集。伝奇あり、侵略SFあり、いずれも幻想的な作品揃いですが、結末の唐突な印象も共通してしまっているのがいささか残念。 「きりとばらとほしと」は、「吸血鬼カーミラ」に始まり、「地球最後の男」で終わるといった感じの三部構成の吸血鬼モノ。『ポーの一族』の元ネタになった(?)ともいわれていますが、むしろ連想したのは『ガラスの仮面』の劇中作「カーミラの肖像」。姫川亜弓さんのあのシーンは、これへのオマージュだったのかしらん。

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                    ゴシック文学入門/東雅夫

                    ゴシック文学入門/東雅夫

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                    「ゴシック文学」「ゴシック小説」の手引書

                    2021/11/24

                    何となくのイメージはあるものの、その実態となるとよく分からない「ゴシック文学」「ゴシック小説」の手引書。江戸川乱歩、小泉八雲、澁澤龍彦、種村季弘等々、日本文学史上の名だたる怪奇文学通たちのゴシック小説語りを収集したもので、収録されているのは長文の評論から短いエッセイ、書評、はては自分が手がけた翻訳書の解説まで幅広い。そんな本書でも出色は「『高野聖』の比較文学的考察」。『高野聖』をダシにして東西の怪奇小説を比較考証しています。オススメ。

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