そして、バトンは渡された/瀬尾まいこ
bookfan
期待して読みましたが、正直に言えば何で…
2023/6/3
期待して読みましたが、正直に言えば何で年間売り上げ第1位なのか理解に苦しみました。次々に保護者が変わっても惜しみない愛情を降り注がれる主人公には、それに見合うだけの理由(魅力?)があって然るべきですが、その点について全く記述が見られません。結果的に「たまたま保護者全員がいい人たちだったのよ」と言われたような曖昧さが残りました。それとも、これは「あり得ない程の強運」を持っていた少女の物語なのか?そして、少女を不幸にしなかったのは、現代のお伽話を書こうとした作者の考えによるものだったのか?いずれにせよ「ご都合主義」が透けて見えてしまったのは私だけでしょうか?同じことは主人公の結婚相手の人物像にも伺われます。高校時代と卒業後では別人のように不自然なギャップがあり、初対面の父親(代理)が結婚に難色を示した点は理解できましたが、娘が心配な親心を強調するためのギャップであったのならば、やはり作者の都合で登場人物を動かしている印象が拭えませんでした。余談ですが、私は読了後に「その後の主人公は保護者と同様に配偶者も次々に代わっていくのかな?」などと考えてしまいました。
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東京タワー オカンとボクと、時々、オトン/リリー・フランキー
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私はリリーさんが好きです。本書にも深く…
2023/6/3
私はリリーさんが好きです。本書を読んで深い感銘を受けました。 ご自身が無気力だった数年間を自嘲気味に曝け出しておられます(思わず共感してしまいました)。誰の監視も干渉もない自由過ぎる自由を手に入れた反動に加え、支えであったお母様から離れてしまったという現実...これが最初に味わった喪失感なのでしょうね。ところが、後に訪れる二度目の喪失感は全く異なるものであり、絶望的なまでに大きなものでした。 本書を読んでリリーさんが愛される理由が分かったような気がします。飾らない。拒まない。底抜けに優しい等々...そんなリリーさんだからこそ、本書を(結果的にそうなったとしても)売名目的で著されたことなど絶対にないと信じています。恐らく、リリーさんにもご家族やご家庭を題材とすることに対する躊躇いや不安があったのではないかと思います。そういうものを断ち切るための決意や勇気を込めて、本書を執筆されたのではないでしょうか? お母様の美しく壮絶なエピソードは、私の心の中で色褪せることなく生き続けています。
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かがみの孤城 上/辻村深月
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子供のためだけの作品ではありません!
2024/2/24
実は購入してから暫くは"積ん読“にしていました。理由は先入観から典型的な児童図書をイメージしていたことに加え、(文字が大きいとはいえ)上下2巻のボリュームに速読が苦手な当方が引いていたことにです。しかし、一旦読み始めると止まらなくなり、結局2日で読了!6人の登場人物たちが体験するファンタジー(SF風味も漂っています)仕立ての一編ですが、これ程までに暖かく爽やかな読後感は久しく味わっていませんでした。序盤から中盤にかけての深刻な雰囲気から終盤は勢いを増し、最後には予想外の展開が待っています。タイトルにも記しましたが大人、子供に関係なく是非とも読むべき一冊です。特に大人は読みながら遠い昔に置き去りにした大切な「何か」を思い出すことでしょう。改めて作者の力量に圧倒されました。
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博士の愛した数式/小川洋子
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柔らかな陽射しで暖められたシーツが打ち…
2023/6/3
柔らかな陽射しで暖められたシーツが打ち寄せる波のように幾重にも全身を包んでいく...深く静かな感動とともに最後のページを閉じました。私は自身の経験から「数学の先生には変人が多い」という印象を持っていましたが、本書を読んで「彼らの探究心を支えているのは優しさに他ならないのだ」と思うようになりました。作者の主人公や彼に関わる人々への暖かい眼差しに誘われ、私は日溜りのように心地よい作品世界を体験しました。記憶を失っていくことは客観的に見れば不幸なのかも知れませんが、最後には嬉しかった記憶や楽しかった記憶だけが残るのならば、きっと安らかな気持ちで旅立つことができるはず...「人の幸せを決めるのは記憶だよ」という作者の声が聞こえたような気がしました。
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流浪の月/凪良ゆう
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当事者の思いに気付かない第三者が自身の…
2023/6/3
当事者の思いに気付かない第三者が自身の固定観念を元に状況を判断し、それが世間では特殊とされる(共感されない)が故に居場所を追われていく人がいる...DVなども絡めながら日本という国が抱える病巣を抉り出していく作者の筆力を見せつけられました。全体的にトーンが暗いことと一部の設定に共感できない点があることが気になりましたが、薄陽が射したようなエンディングには救われた気がします。読み応えがありました。
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鍵のない夢を見る/辻村深月
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短編集です。途中までは地方都市の日常に…
2023/6/3
短編集です。途中までは地方都市の日常に潜む(予期せぬ)危険な香りが漂っていますが、各作品の雰囲気は特に深刻でもなく、寧ろ長閑にさえ感じられます。ところが次第に香りは強くなり、遂には決定的な犯罪が発生します。目隠しされたまま袋小路に連れていかれ、視界が自由になった瞬間...そこには(死んだ)被害者と自分しかいない。そんな場面を想起しました。読者を突き放すようなエンディングが癖になりますよ。
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日本酒 花邑 純米吟醸 雄町 生酒 1800ml 東北 秋田県
リカーハウス 木村屋
4合瓶ならよかったのに...
2021/4/2
花邑のなかでも花形商品ということで、期待に胸を膨らませながら開栓しました。1日目は砂糖水かと思うほどの甘味(他の味は殆どなし)に機先を削がれましたが、2日目からは酸味や苦味、辛味が見事に調和した素晴らしい味わいとなりました。しかし、4日目からは辛味が目立つようになり、少々しんどく感じながら1升を呑み終えました。多くの方々が4合瓶の発売を切望しておられる理由が分かったような気がします。
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信州亀齢 純米吟醸 無濾過生原酒 ひとごこち 720ml
地酒と日本ワイン 和醸の杜
理想的なバランス!
2020/3/9
程よい甘さと後口に残るほんのりした苦さが絶妙のバランスでした。あえて難を言えば,開栓直後の香りに少し穀物臭が混じっているような・・・?パイナップルの香りで有名(!?)なCEL24でも感じましたが,当方はこの臭いがあまり得意ではありません。それでも2日目以降は気にならなくなり,味に深みが増してきて存分に堪能しました。短所をカバーして余りある美味しさですね。
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52ヘルツのクジラたち/町田そのこ
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物語は続く...
2024/2/25
本作も近年急激に増えてきた虐めやDV、LGBTやストーカーといった社会問題を盛り込んだ作品の一つです。予想していた通り、全体を覆う暗いトーンにページを捲る手が何度も止まりそうになりました。それでも最後に薄日が射したような思いを感じて読み終えましたが、感動したかどうかと訊ねられたら...?本屋大賞受賞を出発点として作者のさらなる精進に期待します。
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羽根屋 はねや 純米吟醸 赤磐雄町 720ml 要冷蔵
金澤留造酒店
初めての赤磐雄町でした!
2021/6/22
備前雄町はどっしりした濃厚な味わいが魅力なのですが、どういう訳か当たり外れが多い印象を持っていました。それに対し、この赤磐雄町は甘味と爽やかさが高次元で両立しており、「同じ雄町でもこんなに違うのか!」と久々に驚きました。こんな風に新発見させてくれる日本酒の奥行きの深さを感じつつ、今宵も「何を呑もうかな?」と悩んでいます(笑)!
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