戸建て2階屋根に5素子のFMアンテナを立て、地デジ・BSアンテナと混合、ブースターを経由して各部屋に6分配しています。FM電波の強度は十分にあるのですがどうにも歪っぽく埃っぽく喧しく長く聴く気になれずチューナーもサブシステムに格落ち、開店休業状態でした。ちなみに聴取するのはNHKのクラシック、ジャズ、民族音楽、純邦楽あたりです。BSカットフィルターを挿入してみましたが、大した効果はなく諦めていたところ、たまたまこのバンドパスフィルターを発見、オーディオルームの2台のチューナーに取り付けてみたところ、音量を上げて聞くに堪える音質に大変身したのにはびっくりです。50年前、7素子FMアンテナから直接チューナーに信号を入れていたころの音質というかSN感というかこれにだいぶ近づいたようで、その後TV電波を混合するようになってからの長いFM暗黒時代をようやく抜け出した気分です。あんまり気に入ったのでリビングのAVシステム用に3台目を購入、こちらはあまり効果は感じられませんでしたが、これはそもそもSN感の悪い安物のAVデジタルアンプのためだと思います。価値ある商品のご提供に感謝申し上げます。

品質：良い

自作６Wayマルチアンプシステムの16センチ中低音用密閉型スピーカーを125~400Hzで使用しているのですが、180Hzあたりから-6dB/octのだら下がりの特性が悩みの種でした。購入後（自己責任で）内部を確認したらカタログでは7.5KΩの「H」ポジション用抵抗が6.8KΩでしたが実用上はわずかな差でしょう。中低音用アンプに取り付けてみると200Hzあたりが盛り上がり、当方のスピーカーではミスマッチとなりました。この商品は超小型の中低音以下を持ち上げて聴きやすくするのが目的のようです。このためコンデンサーを0.22μFに交換したら「H」ポジションでGEQ並みの補正が実現、長年の悩みが解決しました！音質低下もほぼ問題ないのですがSN感が少々減退するため、樹脂ケースをアルミフォイルで包み、インシュロックで入力側アースに接地してシールドしたところ大幅改善しました。その後切替SWを撤去、好みの抵抗とコンデンサーに交換したところケーブル直結と遜色のない音質に。なお、カタログのグラフはdB表示にしたうえで、この回路の「売り」であるステップ状の特性が表示されればより親切かと思います。

サブシステムの無指向性スピーカーの高域を抑えて聴感フラットにするためトーンコントロール付きプリが必要となり購入しました。「眠くて角の丸い音だなぁ」が第一印象、でも高域のトーンコンの効き方は上品でドンピシャ。そこで同時に購入した６J1（ミルスペック）に交換したところ音質は一転、シャキッとして躍動感あふれるものになりびっくり。付属の６K4は定格プレート電圧が６J1の2倍あり、６K4にしてみれば厳しい動作条件の影響でしょうか。この状態で2日間ほど鳴らしていると「埃っぽさ」がどんどん解消してSN感が向上、中低域の押出感も良好、このスピーカーと組み合わせている3極管OTLアンプの清涼感ある細身の音が大型多極管シングルアンプのような？太くて隈取の濃い音に大変身。ボリューム位置で音の「太さ」が変わるのが便利で12時から1時のあたりがちょうどよく、（信号レベルにもよりますが）これより上げていくと付帯音がやや気になります。つまり音質調整をこのプリのボリュームで行い、音量調整はOTLアンプ側で行うと快適です。場所も取らないしコスパ最高、価値ある商品の開発とご提供に感謝申し上げます。

Tube03J+でレビューさせていただきましたが本体付属の６K4はとても眠い音でこれは動作確認用と割り切り、同時に購入した６J1に交換してびっくり、躍動感にあふれ太くて隈取の濃い音に大変身しました。ただしボリューム位置で音の太さと歪感が相当変化するのでボリュームは音質調整用とし、音量調整はパワーアンプ側で行う必要が有ります。非選別品ですが2本の６J1はメーカーと製造年が揃っており良心的です。増幅度が多少ばらついているためでしょうか、ボーカルやモノ録音のセンター定位がやや甘くなり、このあたりが選別品との差なのでしょうか。ちなみにGE製5654Wに差し替えると一転こざっぱり、クリーンで付帯音が少なく低音の音程もしっかりしたハイファイ調になりますがイマイチ楽しくありません。50年代のジャズ・ボーカルを昭和のジャズ喫茶の雰囲気で再現できる６J1は汎用性には欠けますがサブシステム用として欠かせないアイテムになりそうです。