風雲児たち　幕末編３３ （ＳＰコミックス） みなもと太郎／著 リイド社　SPコミックス

作者の好みだと思いますが、幕末近くになってから描きたいことや伝えたいことが多く、あちこち脱線して雑学が増えたような気がします。それがあるから物語に肉付けがされて教科書より深く伝わるようになるのでしょうが。本巻では武市半平太や岡田以蔵の登場で暗殺が横行する血なまぐさい時代となり、やっと幕末も大詰めになってきたな、という印象です。

もうガキの頃から読んでいて、やっと幕末の真ん中位に来ました。頼山陽や河合継之助のエピソードすっ飛ばしてここまで来て、これから戦争まみれのエピソードばかりになるのに、絵がギャグ調なので普通に読めます。故小池一夫先生みたいな絵柄だったら涙で大変な事になるだろうな・・・。

賢明なみなもと太郎は、幕末維新の志士たちがが爽やかな青春群像でないことに気付いている。そんな暢気な話ではない。権謀術数とテロリズムが横行したのが幕末維新だ。 それを理想とする現政権がいかにものを知らんか、反知性主義か、確認できる。

時代が時代ですので、倒幕に向けて、話も暗く重い内容で、正直素人にはとっつきにくい状態にはなっておりますが、それでも、この時代を大変分かりやすく、何故そういった流れになっていったのかが丁寧に描かれております。

幼少期よりこれで歴史をならったといって過言ではありません。登場人物も魅力的ですが、教材の歴史に負け時劣らずのしっかりとした情報量。大河ドラマでは描かれないであろうおちゃらけシーン。飽きさせません！

幕末の空気感がそのまま伝わってくるよう。当時の情勢や人間関係を、まるでその場で見ていたかのように（しかもギャグで）表現できるみなもと太郎さんの漫画力にはいつもながら脱帽です。

天誅の名を借りた暗殺謀殺の嵐がいよいよ吹き始めるのがこの巻 阿部正弘や江川英龍、島津斉彬のような人格者たちが活躍していた幕末編初期がとても遠く感じますね

全巻集めております。子供が大好きで愛読しており、日本史の成績がトップクラスになりました。歴史に興味を持つ漫画です！

みなもと史観はあいかわらず面白い。 ただこのところギャグが抑え目かな？

コレに勝る歴史書はない みなもと太郎先生の健康を心から祈ります。